演出家は語る

ここの演出家は、『語らせたらとまらない』ことでは定評があるやうでございます。 今日は『夢幻能オセローとの出会い』について、語っております。。。●「夢幻能オセロー」との出会い この上演のきっかけは、雑誌「文學界」に載っていた、平川祐弘さんのアー…

●夢幻能「オセロー」のデズデモーナ しかし複式夢幻能形式の「オセロー」の場合はデズデモーナがシテになっていまして、殺されたデズデモーナの魂魄が、前ジテではサイプラスの娘のなりで出て来て、旅の僧侶と話していると、やがて正体を現し、後ジテではデ…

●なぜ能は現代人に「わからない」のか――時間感覚の問題 もう一つのわからなくなっている理由は、謡(うたい)という母音を伸ばしてしまう手法の問題です。実は、日本語を音楽的に言うための手法としては、「母音を伸ばす」という方法以外ひとつも思いつかれ…

●「わかる」能 基本的に、今回は能の謡曲本をまったく読んだことがないような観客に向けて作っています。能の持っている優れている点を抽出して、現代を生きている人間の速度感にそぐうように表現できないだろうか、ということですね。能の手法が確立した時…

●祝祭としての「能」 ただ一方で、能は、観客まで含めて考えると、やはり共同体(ムラなど)が全体で行っている鎮魂の儀式であり、自分たちの共同体をことほぐためのマツリなんです。だからそこは近代以降の芸術とはやっぱり違う。そこが僕の惹かれるところ…